トヨタ自動車FY25/3中間決算は増配発表も大幅減益で目先は厳しいか
第1四半期の決算発表については、下記リンクの通り記事にしています。今回はその続きとなる中間決算です。
今回はポイントをつまんでザックリと見ていきます。
2025年3月期 第2四半期決算サマリー
トヨタ自動車「決算報告プレゼンテーション資料」よりスライドを引用します。
国交省による認証問題・⽣産停⽌の影響や⼀時費⽤があった中で、営業利益は前年同期とほぼ変わらず。
営業利益の見通しも、4兆3千億円を据え置きました。
販売台数はEVが大きく台数を伸ばす一方、販売台数全体は若干の減少をしていることから、ガソリンの販売台数が落ちていることがうかがえます。
売上高にあたる営業収益は約23兆3千億円(前年同期比5.9%増)。
営業利益は約2兆5千億円(前年同期比3.7%減)。
税引前中間利益は約2兆7千億円(前年同期比22.4%減)。
親会社所有者に帰属する中間利益は約1兆9千億円(前年同期比26.4%減)。
為替レートは前年が141円だったのに対して、今年は153円と1ドルあたり12円もの円安に振れています。また、ユーロも13円円安に振れています。
営業利益の内訳を見ると、「その他の増減要因」のみがプラス、他はすべてマイナス要因となっています。
さらに、「その他の増減要因」の内訳は、為替変動の影響が+6,100億円、原価改善の努力が+2,100億円で、為替変動の影響が営業利益の増減において、かなり大きな割合を占めていることがわかります。
認証問題などあった中での増収はさすがといったところでしたが、原価や販管費、さらに認証関連費用なども大きくかさんだことで減益。為替影響でうまく持ちこたえていますが、ドル円が一次140円を割ったことを考えると、さらに大きく割り込んでいたら悲惨でした。
税引前利益の下方修正
決算短信ではちゃっかりとした修正でしたが、流石に決算報告プレゼンテーションには記載があります。
営業外損益で持分法投資損益が900億円減益となることで、税引前利益も同額の減益、当期利益に影響はなしという予想に下方修正されています。
為替レートは当初想定145円から2円の円安で147円に変更、2024年10月以降の前提為替レートは1ドル140円です。
メディア向け決算説明会を流し聞きしていましたが、持分法投資損益の900億円減益は為替が絡んだものと発言されており、2024年10月以降の為替レートを大きく下げたことが関連すると思われます。
増配
中間配当は10円増額の40円、期末配当(予想)は5円増額の50円。
年間で合計15円増額の90円の配当(予想)を実施することが発表されました。
2021年度以降の推移を見ると、2024年度に年間15円の増配をしたこともあり、妥当かつ予想通りの増額だったかと思います。
近年は株主還元がある種のブームになっているので、自社株買いと合わせてキャピタルゲイン・インカムゲインを実施してくれる点は、一定の長期保有株主から評価されているポイントのように感じます。
気になった点
北米での営業利益が、第1四半期に引き続き大きく落ち込んでいます。
第2四半期だけで営業利益は2,391億円から273億円と、ハリケーンやストライキが関連したのか、実に10分の1ほどにまで減少しています。
トヨタ自動車ニュースリリース「2024年度上半期(4月-9月)販売・生産・輸出実績」から、販売台数を確認しましたが、以下のコメント付きで増加。
7月からはTX・グランドハイランダーのリコールによる生産停止の影響を受けたものの、堅調な需要を背景に新型カムリ、RAV4、カローラの主力モデルや電動車が好調で、前年並み
一方で、輸出台数を見ると、前年中間期が371,504台だったのに対し、今期は293,626台と21.0%も減少していました。
ただ、これだけでここまで減益になるとは思えません。
所在地別の営業収益(ただし金利スワップなど含む)を見ても前年約85,962億円から95,253億円と、約1兆円の増収をしていますので、単純に原価または販管費がかさんでいるのでしょうが、その内訳が分からないのは懸念材料です。
まとめ
為替で営業利益はかろうじて維持、円高見通しによる通期税引前利益の下方修正、想定通りの増配を見ると、投資家としてはややガッカリの内容だったのかなと思います。
また、北米事業はかなり危うい状況です。本日トランプ大統領の当選確定ニュースもありましたので、今後も注視していきたいところではあります。
中国事業等については個人的にあまり気にならなかったので割愛しました。
以上です。
【追記】
2024/11/6 EV増加、ガソリン・ハイブリッド減少と記載しましたが、正しくはEV増加、ガソリン減少でした。失礼しました。
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