Amazonは支配的な地位の濫用で不当な利益を得ており、KDP出版は限りなくリスクである:Kindle Direct Publishingアカウント停止の横行

将棋

Amazonといえば、世界を代表する企業の一つですが、支配的地位の濫用により、不当な利益をユーザーから搾取しているようなので、今回はこちらを取り上げます。

これからKindleで出版を考えている方は、相当なリスクを抱えることになりますので、必ず本記事をご一読ください。

また、本記事をご覧になっているということは、KDP(Kindle Direct Publishing)についてある程度の知識があるものと思われますが、ご存知ない方のためにも一から解説いたします。

KDP(Kindle Direct Publishing)とは?

KDPとは、AmazonのKindleストアにおけるセルフパブリッシングサービスのことです。

Amazonアカウントを保有するユーザーであれば誰でも利用することが可能で、Amazonが事業展開する各地域で出版・販売ができるとして人気のサービスです。

KDPで出版するリスク

KDPは、誰でも簡単に利用可能ですが、大きなリスクを抱えています。
それが、出版ブロック・アカウント停止問題です。

出版ブロック

まず、出版ブロックというのは、「出版物がAmazonの判断により販売停止となること」です。

Amazonはコンテンツガイドラインと称して独自に出版基準を設けており、これに違反した出版物は強制的にブロックの対象となります。

しかしながら、その基準は極めて曖昧であり、具体的な基準は一般に公開されていません。

違法なコンテンツまたは権利を侵害するコンテンツ

法律の違反および所有権の侵害については厳正に対応します。著者、出版者、および販売パートナーは、ご自身のコンテンツが法律に違反していないこと、また著作権、商標、ブランド、プライバシー、パブリシティ権、その他の権利を侵害していないことを必ず確認してください。Web から無料で入手できる、著作権で保護されているコンテンツは、その著作権所有者から Amazon に提出される場合を除き、お取り扱いできません。また、著作権で保護されている作品を基にしたガイドブック (例: 要約、参考書など) を、著作権保持者からの書面による許可なく米国以外で出版することはできません。


不快なコンテンツ

Amazon は、ヘイトスピーチと判断するコンテンツ、テロを擁護するコンテンツ、わいせつと判断するコンテンツ、児童ポルノを含むコンテンツ、または Amazon が不適切または不快であると判断するコンテンツを含め、特定のコンテンツを販売しません。


人工知能 (AI) コンテンツ (テキスト、画像、または翻訳)

KDP で新しい本を出版する場合、または既存の本を編集して再出版する場合、AI 生成コンテンツ (テキスト、画像、または翻訳) についてお知らせいただく必要があります。AI 生成画像には、表紙や本文の画像、アートワークが含まれます。AI アシスト コンテンツについて開示する必要はありません。AI 生成コンテンツと AI アシスト コンテンツは、次のように区別されます。

  • AI 生成: AI 生成コンテンツとは、 AI ベースのツールによって作成されるテキスト、画像、または翻訳として定義されます。AI ベースのツールを使用して実際のコンテンツ (テキスト、画像、または翻訳) を作成した場合、後で大幅な編集を行ったとしても、そのコンテンツは「AI 生成」と見なされます。
  • AI アシスト: コンテンツをご自身で作成し、そのコンテンツ (テキストまたは画像) を AI ベースのツールを使用して編集、改良、エラーチェックした場合、またはその他の方法で改善した場合、そのコンテンツは「AI アシスト」と見なされ、「AI 生成」とは見なされません。 同様に、AI ベースのツールを使用してアイデアを引き出し、最終的にはご自身でテキストや画像を作成した場合、そのコンテンツは「AI アシスト」と見なされ、「AI 生成」とは見なされません。 そのようなツールの使用やプロセスをお知らせいただく必要はありません。

すべての AI 生成コンテンツおよび/または AI アシスト コンテンツは必ずすべてのコンテンツ ガイドラインに準拠しており、さらに適用されるすべての知的所有権を遵守する必要があります。


読者の読書体験を損なう本

Amazon で販売される本は、読者に快適な読書体験を提供するものでなければなりません。Amazon では、読者の誤解を招く記述、または本の内容を正確に表していない記述は認められません。また、読者の満足を得られないコンテンツも認められません。例については、『Kindle コンテンツの品質ガイド』をご覧ください。Amazon は、読者に快適な読書体験を提供するために、いつでも本のカテゴリーを変更できる権利を留保します。


パブリックドメインのコンテンツ

パブリックドメインで、現在は著作権で保護されていないコンテンツは認められます。ただし、Amazon では快適なショッピング体験を実現するために、パブリックドメインの本については複数の類似本を取り扱わず、無料版が存在している場合はその 1 点のみを提供することにしています (「パブリックドメイン コンテンツの出版」のポリシーを参照)。コンテンツがパブリックドメインであることを証明していただくようお願いする場合があります。


著作権等管理事業者の管理楽曲の楽譜・歌詞

JASRAC を含む、著作権等管理事業者の管理楽曲の楽譜・歌詞を含むコンテンツは、現在 Kindle ストアで販売することはできません。

(引用:KDPコンテンツガイドライン

上記引用の中で特に注意したいのが、「不快なコンテンツ」です。

こちらは「Amazonが不適切または不快であると判断」した時点で、直ちに出版ブロックの対象となり、ブロック時に具体的な理由が説明されることはありません

例として、人物や動物のイラスト、塗り絵、キャラクターの絵など様々なものが挙げられ、社会通念的に「わいせつと判断するコンテンツ」や「児童ポルノを含むコンテンツ」に該当しない場合であっても、ブロックされることが多くあります。

アカウント停止

出版ブロックであれば、該当の出版物のみに対する作用ですから影響範囲は狭くて済みますが、アカウント停止はかなり厄介です。

アカウントが停止されると、強制的に「販売情報等の閲覧禁止」「全出版物の販売停止」「未払収益の没収」「新規アカウント開設不可」といった措置を取られます。

全出版物の販売停止にとどまらず、売上が全て没収されてしまうのです。

アカウント停止に関しては、Amazonが独自に判断するケースが多いですが、特に「コンテンツガイドラインに複数回にわたって違反」して停止となるケースが多いようです。

KDPにおける問題点

支配的な地位の濫用による不当な利益

インターネット記事やSNSを調べると、理由不明のアカウント停止措置を受けたユーザーはかなり多く、このユーザーたちの得た未払収益はすべてAmazonが没収していることがわかります。

これが本記事表題にもある「支配的な地位の濫用による不当な利益」の正体です。

これまでどれほどの人数が同措置を受けたのか不明ですが、世界中にユーザーがいますので、仮に月10,000人として、平均10,000円の売上が没収されていたとしたら、一定数のアカウント停止を行うだけで毎月1億円=毎年12億円規模の利益が、Amazonに対してほぼゼロコストで発生することになります。

競合出版者やクレーマーからの通報や嫌がらせ

Amazonの地位濫用以外にも、競合出版者が不正に通報をすることで、新規参入者のアカウント停止を試みる動きがあるようです。
これはデータこそないものの、かなり大規模で横行していると思われます。

また競合だけでなく、AI生成を良しとしない方が、意図して通報することもあるようです。

特に最近急成長を続ける生成AIを利用した出版物については、競合排除を目的とした動きが活発であり、何ら問題のない内容のものを出版しても、数日内に出版ブロックやアカウント停止に至るケースが目立ちます。

ブロック解除やアカウント復元について

出版ブロックの解除

まず、出版ブロックの解除はほぼ不可能です。

AmazonのKDPコンテンツレビューチームという窓口に問い合わせて解除してもらったという記事を稀に見かけますが、基本的に同チームは定型文のコピー&ペーストによる対応しか行っておらず、ブロックが解除されることはないと考えた方が良いでしょう。

問い合わせ時に、以下の返答がされることが多いと思われますが、基本的に再出版は推奨されません。(理由は後述します。)

コンテンツ ガイドラインに沿った内容の本を再出版するには、別の新しい本として提出し、Amazon の通常の審査を受けていただく必要があります。
再出版される本はまったく別の商品と見なされるため、これまでのカスタマー レビュー、タグ、およびランキングの情報は引き継がれません。

アカウントの復元

アカウントの復元は基本的に1回までしかできません。
2回目以降は、Amazonの独自判断により、いかなる理由があっても復元されないケースがほとんどです。

先ほどの引用に「再出版するには、別の新しい本として提出」するよう記載がありますが、改定後に再審査を受けて、そこでも同様にブロック対象となった場合、当該出版物のブロックだけではなく、アカウントの停止措置がなされ、これが2回目以降の停止の場合、二度と復元することはできません。

つまり、未払の売上がすべて没収されてしまいます。

昨今のAI生成本との関連

AmazonはどうやらAI生成による出版物に対してかなり厳しい目を向けているようで、少しでもクオリティが低かったり、僅かでも出版頻度が高かったりする場合、先の競合による通報等も相まって、即時にブロックやアカウント停止になる可能性が非常に高いです。

まとめ

以上、KDPでの出版はAmazonの裁量で突然アカウント停止となるケースがあることからハイリスクであり、Kindle出版は推奨されるものとはいえません。

Amazonは世界的に巨大なプラットフォームですから、出版機会を得ること自体を否定はしませんが、リターンに対する潜在リスクが計り知れず、相当な時間を費やしたのに一銭も得られなかったということも考えられます。

独占企業に対して訴訟をしようにも利権には勝てませんから、ユーザーはこのような被害にあった場合、泣き寝入りするくらいしか方法がないのです。
Amazonの独占的地位に一石を投じる目的で、どなたかが被害者を集めて集団訴訟を起こせば世界も変わるかもしれませんが、期待はかなり薄いでしょう。

KDPには最初から関わらないのが最も良い策だと思われます。

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Posted by このめ