【将棋研究】ソフトも推奨のゴキ中対策!このめ流向かい飛車でゴキゲン中飛車に打ち勝とう!【向かい飛車】【ゴキゲン中飛車】

2020年4月11日将棋研究,将棋

こんにちは、このめです!

みなさん、ゴキゲン中飛車への対策は用意していますか?
おそらく高段者の方であれば、丸山ワクチンや超急戦、超速3七銀戦法など、対策を一つは持っていることだと思います。

しかし、級位者にとってそれらの定跡をイチイチ覚えるのはかなり手間のかかる作業であり、変化も多くあることから定跡を覚えられず、結局実戦で負けてしまうという悪い流れができている方もいるかもしれません。

そこで、今回は私がゴキゲン中飛車対策に積極的に使っている戦法をご紹介したいと思います!
その名も「このめ流向かい飛車」です!

ダラダラと説明していても分からないと思うので、以下でサクサクと解説していきます!
ソフトを参考にしながら棋譜を作成していますので、内容のレベルが高くなっていますがご了承ください。
【使用ソフト:Kristallweizen NNUE 4.83】

はじめに

ゴキゲン中飛車とは

ゴキゲン中飛車とは、簡単に説明すれば、以下の図のように、早めに5筋の位を取りに行く中飛車のことをいいます。
受けることの多い振り飛車の中でも、かなり攻撃的な戦法であり、プロアマ問わず指されています。

ゴキゲン中飛車の序盤

初心者からすれば、「飛車を5筋にまわる?」「早めに5筋の位を取りに行く?」のように大胆すぎる発想に思えるかもしれませんが、意外とこれが曲者で、存外に勝つことが難しいのです。

このめ流向かい飛車

さて、本題となる「このめ流向かい飛車」について説明していきます!

発想

この戦法の着想は「相手に攻めさせないように受けてから攻めることはできないか」ところから来ています。

ゴキゲン中飛車はかなり攻撃的な戦法ですので、まずは「相手に攻めさせない」、次に「相手の攻めを受け止める/受け流す」、最後に「こちらからの攻め筋を作る」という流れが必要になります。

駒組み

受けの態勢を作ってから向かい飛車に

初めの駒組みは以下のようになります。
(先手:ゴキゲン中飛車、後手:このめ流向かい飛車 として見ていきます。)

序盤は何も考えることなく、「角道を開ける」→「2枚の銀を繰り出して5筋を受け止める」という流れを作ります。
そして、3三角から5筋に飛車を回れば「このめ流向かい飛車」の基本形は完成となります。

このめ流向かい飛車の基本形

実はこの時点で、ゴキゲン中飛車側からの早い攻めは難しくなっています。
5四を攻めようにも2枚の銀が阻んでいるため攻められず、4筋の突破を目指すのも少々強引となります。

さらに、ソフト評価値も若干後手に振れます。
駒組みの時点ででソフト的には作戦勝ちなのは、心強いと思います。

囲いはやや特殊な形に

向かい飛車に組んだ後は、以下のような進行を目指します。

囲いはへこみ矢倉を反転させた形に似た形を目指します。
この囲いに名前がついているか分かりませんが、ここでは「このめ囲い」としておきます。

このめ囲い

玉が更に7二にまで囲えれば、このめ囲いの理想形となります。(6一玉でも十分戦えます。)
ちなみに相手に隙を与えてしまう可能性と、相手が1手早くなる可能性から、基本的に7三の歩は突きません。(金無双の亜種と考えればなんとなくわかるかもしれません。)

攻めはまず端から

この「このめ囲い」、いびつに見えて意外と頑丈で、ゴキゲン中飛車側からの手の作り方が難しくなっています。
しかし、同時にこちらからの攻めも作りにくいように思われます。

そこで、飛車角をうまく活用しながら端を中心にを狙います。

ややコツが必要ですが、意外と攻めが続きます。

ポイントを整理すると、

  1. 1五歩→同歩→同香→同香→同角から攻める。
    (歩や香で角を追われそうですが、逆に2四角から活用できる)
  2. 端で手に入れた香を飛車とセットで活用する。
  3. 香と歩で1三の地点を攻められた場合、しっかりと歩で受ければ問題ない。

このようになります。

駒がゴチャゴチャしていて訳がわからなくなるかもしれませんが、このめ流向かい飛車では基本的にゴキ中側からの早い攻めがないため、冷静に考えればこちらが優勢となります。

このめ流向かい飛車の例

これまで説明してきたのは、お互いにほとんど良い手を指した場合です。
ここからは、このめ流向かい飛車の例を2つ紹介します!

例1

ゴキゲン中飛車側の猛攻により、このめ囲いがメタメタにされた場合です。

このめ囲いの5筋からの突破は難しい(ソフトも推奨しない)ため、4筋からの突破を目指し、囲いをある程度まで崩すことには成功します。
しかし、攻めを繋げる代償に大駒の飛車を手放してしまい、向かい飛車側の玉も広いため、ゴキ中側が結果的に勝ちにくい状況となっています。
(後手の評価値は、44手目:300~500点、59手目:500~800点)

例2

この棋譜では、ゴキゲン中飛車側がほとんど攻めることができていないことが分かります。
向かい飛車側も手を作りにくいものの、ゴキ中側に比べて全体的に駒が上部に手厚く、全軍躍動感があるため、なんとか繋げられるといった感じです。実際に飛車があっちこっちへビュンビュンと飛び回ることで攻めることができていますね。
(後手の評価値は、87手目:400~700点)

このめ流向かい飛車の良い点・悪い点

良い点

このめ流向かい飛車の良い点は、以下の3つです。

  1. ゴキゲン中飛車側が攻めを作りにくい
  2. ほとんど何も考えずに駒組みできる
  3. 正確に指せば向かい飛車が勝てる

一つずつ、サラッと見ていきましょう。

ゴキゲン中飛車側が攻めを作りにくい

ゴキゲン中飛車は基本的に5筋から攻めてきますので、2枚の銀が阻むこのめ囲いを前にして、早い攻めを作ることが難しいと思われます。

ゴキゲン中飛車の特徴である、5筋の飛車、角、銀の3枚の攻めを咎めれば、あとはこちらがどうすれば良いかを考えるだけです。

ほとんど何も考えずに駒組みできる

20~30手目あたりまでは、銀を上がって飛車を回って囲いを作るだけですので、そこまで難しいことはないと思います。

正確に指せば向かい飛車が勝てる

駒組みの時点でソフト評価値は向かい飛車側に振れており、作戦勝ちといえます。
(後手に評価値が振れるのはあまりないものの、このめ流向かい飛車は後手でもソフトが評価します。)

勝つか負けるかという議論は置いておき、どちらがソフトに評価されるか(正確に指せばどちらが勝ちやすいか)という一点においては、このめ流向かい飛車は、対ゴキゲン中飛車の有効な策になり得ます。

悪い点

  1. 力戦型になりやすい
  2. ゴキゲン中飛車以外には普通

力戦型になりやすい

この戦法の悪い点は、ほとんどこれに尽きます。

中盤からほとんど力戦型となるため、ある程度の棋力がなければ、一気に形勢が逆転されるという可能性もあります
逆に、力戦型が得意な方にとっては、最高の戦法となるかと思います。

ゴキゲン中飛車以外には普通

相手がゴキゲン中飛車に見せかけて他の戦法に変えた場合、この戦法は悪くはないものの、有利な点も見出せません。
もっとも、ゴキゲン中飛車から他の戦法に変えるのは、かなりの序盤であることが多いので(例えば、5筋を突いただけで居飛車だった場合など)、その際はこちらもツノ銀雁木から居飛車を目指すなど、臨機応変に対応すれば良いと思います。

もちろん、このめ流向かい飛車にしてもいきなり不利となることはありません。

最後に

このめ流向かい飛車、私が「またゴキゲン中飛車か、有効な対策も持っていないしどうしようか」と実戦で考えたものです。
ソフト検討の結果、意外に指せる(むしろ若干良い)ことはわかったものの、まだまだ研究段階で、実際に勝率を上げられるかも不明です。

今後もソフト研究を続けて、より簡単な手順はないか、力戦型を避けた勝ちパターンはないかなどを検討していきたいと思います。
また、多くの方に指していただいて、実戦例が増えれば、より研究も進むかもしれません

今回はここまで。将棋ソフト同士の対局を見るだけでなく、実戦経験を積んだり研究をしたりして、強くなるためにもっと頑張りたいと思います。

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